今年5月、槙原泰介と片山初音は長野県の山荘とその周辺で4日間の展覧会を開きます。
私たちはこの何年間かで生活を大きく変えることを余儀なくされました。その変化とともに都会から田舎に眼差しを向ける人々も増えています。それは単なる逃避ではなく、むしろ都会的な技術を持って荒野を取り込み、移り住むことに発展してきています。都会と荒野はいまやシームレスに結びついて垣根を失い始めました。もしかすると、元から垣根などなかったのかもしれません。私たちは今、精神的な自然のイメージへの逃避ではなく、この実在する「都会化された荒野」とじっくり向き合うことで、その中間領域に新たな指針を見つけ出したいと思うのです。
作家の二人は世代もキャリアも大きく異なりますが、互いに身体や事物が存在する地平の多層性や不確かさに強い関心を持ち、場所と事物や技術との関係性そのものをインスタレーションとして表現するという共通性を持っています。この展覧会を通して、同じ環境・時間の中に身体を置くことで協働し、個々で活動するときよりも大胆に偶然性・他律性を取り入れた作品を発表します。